建物の木造化・木質化への再生・再構築

建築士会発行の【建築士】の12月号、特別号において、
《福祉施設の木造化・木質化》と、
圧倒的スケールの 出雲大社の千木(ちぎ)のアップ写真を表紙にした
《木質化と工業化》がクローズアップされています。

ここ最近の世界的トレンドのSDG'Sで、〈持続可能な〉〈CO2の削減〉をよく耳にしますが、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、RC造(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)が近代建築の証のようにこぞって、それらのビル・公共建築物が当たり前の世の中になりつつありましたが、ごく少数の設計の先生方、工務店が、木造建築の素晴らしさを謳い続けて、ようやく木造が、一般的な在来工法のみならず、木質系建物が見直されてきて、さらにそこに工業化というエッセンスを加えて、これからの建築の主要構造体の選択肢として見直されてきていることを、心より嬉しく思うところです。


ウルグアイラウンド以降、輸入材は国産材を駆逐していくかのように一般的に使われ出し、値段競争で負けた日本各地の山林は、山林従事者の減少により、廃れていく一方でした。同時にアマゾンなどの貴重なジャングルの自然破壊は進んでしまいました。

そして、コロナ禍以降の現在は、世界的に外材の取り合い、木材輸送のコンテナ不足等により、木材・ベニヤ等は2倍から3倍の値段で取引きされだし、急遽国産材も流通しだしましたが、フル稼働しても35%程度の割り合いを供給するのがやっとのようです。

消費者にとって、原材料の高騰は厳しい状況ながら、木材・国産材への回帰は、一過性のものでは無いと考えます。
グローバルで見た際に、加工がしやすく、温もりのある木材は、使用量が増える一方で、価格がさらに釣りあがっていき、日本は国産材をどんどん採用し、林業をかつてのように盛り上げていくべきだと考えます。
東濃桧の良さをかねてより感じていますが、友人の地元の紀州材も目が詰まった高級材として見直されてきているようです。

ブラタモリで地質に興味を抱いている方も多いことと思いますが、本来、日本列島は活発な火山・造山活動により、世界的に見ても、極めて稀な、若い地質と、台風・高温多湿による気候風土により、森林の再生活動さえ怠らなければ、木々(森林)の再生能力が非常に高い土地なのです。

石造りを基本に、多くの歴史的建造物を長く残している西欧諸国も、かつては日本と同じような木造の文化だったようですが、木を伐採したあとに、地力が低かったために、樹木が素早く復活するという好循環ができにくく、石、そしてコンクリートに頼った建築に変わっていったようです。
同時に、地震や台風、風水害・高温多湿という洗礼を常に受けている自然的脅威が日本ほどではなかったために、それらの建物が長い時間、保たれてきているというのが、本質的な違いだと考えます。

古来より、日本の竪穴式住居の寿命は、20年程度、伊勢神宮も20年で式年遷宮(建替え)、他の木造建築も、数十年、60年単位での建て替え、大規模修繕などが当たり前で、基本的に土に還っていくことを是とする思考、或いは樹齢が長い樹木を採用し、メンテナンスを繰り返すことにより、法隆寺のような長い命を保たれている木造建築もあることも事実です。

RC造のマンションの建て替え問題が、今後益々増えてくることと思われる中、解体費用が非常に高くつく点が心配でなりません。木造建築はその点、安価で済みます。
さらに、アスベスト問題、解体後のリサイクル率を考えた上で、木材をただチップ材として使用するだけでなく、木質系セルロースの特性を活かしたリユース性の良さ・酸素が少ない海中での腐食しにくさを生かした漁礁素材としての活用等が開発推進されていけば、短命でも良い建物、メンテしながらでも長く持たせたい建物と、選択肢を広げていくことにより、循環型社会としても、森林の育成においても、樹齢の若い樹木の方が二酸化炭素の固定化に貢献するという意味でも、日本という特有な地理環境下においては、木造・木質を、工業化(最善な改良技術に秀でている日本ならではの世界を驚かす優越性)により、日本自体の自給自足率が上がるだけでなく、高品質性を武器に国産材を取り巻くユニットが、世界へ大きく羽ばたき、外貨を稼ぎ出す一つになると信じます。

土へ還っていく、すがた形を変えて、輪廻転生して蘇っていくことが当たり前だった、古来からの日本的発想を世界へ、送り出すことにより、世界が良い方向へ向かってくれたらな~と思う、今日この頃です。

頑張れニッポン、頑張れ世界。