【若くないテルアキの悩み】

ドイツの文豪ゲーテの代表作、【若きウェルテルの悩み】をもじって、
【若くないテルアキの悩み】

今の小川名輝明(オガワナ テルアキ)は、48年間、様々な方々に助けられ、育てられ、【今】に至っております。

世のため、未来へ向かって、悩んでいる暇は無いのですが、時折、悩むことも。

何に?


自分でも、馬鹿かと思うほどに、今後の世を心配して、【世のため】と、豪語しておりますが、

小さなことでも、テルアキは悩んでおります。

以前に私が在籍した組織にて、先代・先々代に、社内で一番と言い切れるほど、厳しく育てられ、時には袂を別ち、独立しましたが、その後、親曰くの馬鹿息子を支えて欲しいという強烈な要請により(妻家族の想いもあり)、【出戻り】という汚名を浴びせられながらも、その亡きお二方のために、その組織が潰れないように、継続しなければならない、さらに発展させるという想いで、同族企業に骨を埋める覚悟でした。(自分の命を捨ててまで)

しかし、ドラマではありませんが、少々裕福に育ってしまったご子息は、代表取締役という格式を得てからは(そこにいたるまで、彼を排除しようとする分子を、こちらの実力で大差を付け、社内に居られない状況を作ったり、あんな馬鹿に任せられないという先輩方をも、説得し、同時に、どうせ俺は嫌われ者なんだ。継ぐ気は無いと言い続けたご子息にも、立つように精力を使い続けた日々でした)、年々勘違いをし始めたので、『あなたが社長をやっていかれるのは、30人以上の社員が頑張ってくれているから』と、言い続け、時には厳しい言葉も社員の手前でも、吐かせていただきましたが、彼は耐えられなかった。4回、『辞めて欲しい』と。「私は辞めないですよ。だって、お客様が大事だし、私を育ててくれた会社が好きだから』と一蹴。

5回目は、監禁されて『退職願』を出すまでは、ここから出さないと。
ダメだ。本気だ。元々、覚悟の上で意見しているので、すぐに用意しておいた用紙とペンと印鑑で、退職願を書き、提出。昔でいうと、切腹する気持ちでしたが、監禁はうまくなかった。切腹を許されず、錆びた刀で斬首された感。私のなかでは、心中、『先々代、先代に対して、無念!』の思いでした。

後で妻が、直接聞きましたが、『小川名がいると、俺が光れないから』。
 
こうなることを予測していたから以前から、私は徹底的に脇役に務め、公の場に出たがらない彼を、表に出そうとして、『何で俺が!』と、嫌がるのを、無理をしてでも『表』に出していましたが・・・。

一瞬にして、これまで培ってきたものが、地に堕ちました。
そして、古い体質に半ば飽きて、これまで愛してきた建設の仕事を捨ててまで、他の仕事をしようとしていましたが、何度も声を掛けられていたヘッドハンティングの会社から声が強烈に声がかかり、行く気はありませんでしたが、家族を守る妻の要望に応え、イヤイヤ面接だけは・・・。
【横浜 事業部】の立ち上げ。わざと断られるために、受け容れなくても結構だけれど、提案はさせてもらいたいの発言。数日後、まさかでそれを聞き入れた条件で呼ばれました。男が一度言ったからには、仕方なくお世話に、そして尽力することに。
 
遠い地の会社が、横浜での住宅事業立ち上げゆえに、そう簡単では無かった。元の会社から、何度も嫌がらせ(営業妨害)を受けました。捨てた私にさらに追い打ちを。かなり、残酷。私よりも、仲間たちが可哀想でならなかった。今でも訴えたら勝てるほどに。

その後、どこまで本気か分からないながら、元の会社の社員が、3人、私のいる会社へ。こちらに転職したいからと。150人超のトップ・ナンバー2に、その旨を話し、面接へ。結局、来なかったけれど。

立ち上げを成功させ役目を終えてから、欲しがられていた元請け系RC造の新築も、ブレーンの方々のお陰で、宮内庁も含め、4ヶ月で4棟。7億円までという狭い範囲で。10億円以上の数物件は断っていた。ここの会社が偉いのは、『もう、仕事を取ってこないでくれ』と。理由が素晴らしいのは、それを施工管理するシッカリした人間がもう居ないからという、極めてお客様想いの理由。
『なるほど。では辞めます。仕事をしないで過ごす事ほど、退屈なことはないので』

そして、小さく独立。
ところが、まだ1年と僅かながら、とても素晴らしいお客様方・職人さん方に恵まれて、薄利ながら、自分が目指している方向の一部をやり始められている今日に、妻と、大変感謝している日々です。

その一方で、【若くないテルアキの悩み】が、出始めてしまった。
また、かつての地元の会社の社員から、遠回しの打診、数度。
今の時代は、個人の意思は自由であり、何も問題ないのですが、古い体質の建設業では、商圏が被る場合は、【仁義】にもとる考え方があります。よって、何とかしてあげたいけれど、知らない振りをせざるを得ない。
逆に言えば、そこまで・・・。
妻曰く、【会社の将来のため、大切なお客様のために、家族サービスもなく、必死に動いてきた、あなたの首を斬った、あの社長が悪い。私の家族みんなが、あんなに大好きな会社だったのに(先々代から応援していたのに)。もう、あの会社は関係ないでしょ!だから、デキる人ほど辞めてしまって、残った人は・・・。そんな会社の人間は放っておけば良い!あなたは人が良すぎるというか、馬鹿なほどに人を心配するからダメなのよ(本来ならば良いことなんだけれど)】と、ピシャリ。

『でもさ、俺もあそこで育ててもらったんだよ!』

【だから、いつも‟良い人”になっちゃうんでしょ。それは私も痛いほどわかるけれど、どれだけ、嫌がらせされたのか。覚えてないの?】
【あなたが、辞めてから、水漏れで天井が落ちたとか、対応が悪くてと、何件聞いてるの!あなたが、かわりに謝罪しているじゃないの。もう社内でお客様のことを思って、うるさく言える人がいなくなっちゃったんでしょ。それが現実でしょ。しかも、自浄作用がまるで無い。だから、首を斬られたあとでも、あなたを頼って、お客様が困ってSOSが来るんでしょ!わざわざ、うち(当社)まで来る方も居るでしょ。】

『でも彼らは、今回は真剣な雰囲気だよ!』

【何回言ったらわかるの?また、裏切られるよ。 だから、あなたは人がいいんでしょ!】
 
『ボヘミアン・ラプソディー』のフレディー・マーキュリーが、たまに、日本史上の超天才 織田信長と被って見えますが、彼なら、そういう寝返り的な人間の首を容赦なく落としていましたが。

未来へ向けて走っている私としては、とてもスケールの小さい【若くないテルアキの悩み】でしたが、なぜか書かないと今を生きられないし、彼らを助けるべきかどうか・・・。常にほぼ即決する私としては、珍しく悩ましい現実です。

かの会社が、何とか、自浄作用で、今後の厳しい建設業(勝ち組と負け組がはっきりする)を、生き延びて欲しいのが、せめてもの思いです。

ただし、商売の場では、遠慮なく必ず勝ちます。