新型コロナ騒動の時期だから、【新築住宅】は、法改正されるのを待ちたい

新型コロナウイルスが猛威が世界中で猛威を振るい、人々の暮らしを根底から覆している昨今。


当社は、まだ創業3年で十分な体力が無いという事実もありますが、住宅の【新築】にあまり積極的でない理由があります。(かつては、多くの新築住宅・ビルを手掛けてきましたが)


【スマートハウス】という流れが当たり前になっていますが、実態は、地球温暖化防止のために世界でまとまって、京都議定書、パリ協定などで、その主因とみられるCO2の削減が【絶対的正義】と捉えられ(論理が破綻しているように思うかも知れませんが、CO2削減には反対では無い)、我が日本国においては、CO2削減という目的のために、手つかずの余地がある【住宅】に目が付けられ(当然といえば当然な流れ)、住宅における主幹部門の国土交通省が頑張ったけれど、工務店があまり言うことを聞かないため、経済産業省まで乗り出して、何とか法規制による縛りで、世界標準に体面上、顔向けできるように推し進めたのが、現在の建築基準法。


簡単にいうと、住宅を高気密化し、高断熱化して、外部との熱のやりとりを極力少なくして(かつての住宅は隙間を集めると、直径50センチ程度の穴があったらしい)、熱損失率の一番高い窓をペアガラス、トリプルガラスとして、外部に接する面積を極力小さくし(耐震上、壁を多くした方が倒壊しにくいという考えも相まって)、さらには熱が入りにくいように、Low-eガラスにより熱反射。(紫外線カットのため、ウイルスも死滅しにくい)
断熱材も高性能のものにプラスして、テープで隙間を極力少なくして、密閉性の高い住宅に。
これにより、夏場のクーラーの負荷が減り、電気使用量の削減(化石燃料を燃やす発電所の負担減)、冬場もエアコン、床暖房の負荷を下げ、結果としてCO2を削減して、諸外国からの圧力に応えようとしている真っ只中。


移行期間を経て、今年2020年からは、これらを満たしていない新築住宅を設計・建築した場合には、建築士としてのペナルティーも加えられることに。
よって、今建築されている新築住宅においては、高気密・高断熱が基本です。


高温多湿の本州以南においては、あまり向いていない建築法のため、結露防止用のシート、電気による換気システムによる人工的な通風をして、結露対策を行なっている。
長年の経験、叡智から、伝統的木造住宅が建てられてきましたが、それらは閉め切りの状態でも、【自然換気率】の高い住宅でした。逆に建設省時代は、それを推進して教えてくれていました。


しかし、いくら人間様の能力を持ってしても、家中の至る所の完全なる換気は難しい。
何処かで、計算外の空気の滞りを抑えることは難しい。
密閉性の高い鉄筋コンクリート造の住宅で、色々と試してきましたが、完全なる物は作れませんでした。
これまで、建築に関して頭脳明晰な国土交通省の方々が、その限界を知っているがために、強制力を掛けなかったのがよく解ります。
日本の環境に適した住宅づくりを目指して入省した、彼ら自身が、本心では苦しい筈です。


そして、まだワクチンが開発されていない、【3つの密】をしてはいけないという新型コロナウイルスに関しては、現在造られている【新築住宅】においては、【密】の空間をわざわざ作っているように感じます。
本当に完全なる換気システムならば、『窓を開けて、換気しましょう!』など、行政が言わないだろう。
現在の住宅で、密閉してエアコンだけで、暮らしたならば、隣近所には迷惑を掛けないながら、家庭内感染しやすいのでは。エアコンは室内の空気を取り入れて、室内に戻す、内部循環方式だから。

かねてから、軽量化・低空力化・製造コスト面から、私が好きだった電車(鉄道)も、窓が開かないものが主流になってしまった。
『上げ下げ窓』の話に引用していた、『電車の窓』という表現では、今の若者には通じなくなってきている。

今後、第2波、第3波、さらには、新型コロナウイルスの変質、次なるウイルス、菌に対抗できるのだろうか?
自然は人智を凌駕しないだろうか。
所詮は、人間も自然(宇宙)の一部であり、いくらおっかけっこしても、我々はそれを超える術がないだろう。


だから、私は、法律が変わるのを待っています。
それまでは、お客様に心から【新築住宅】をお薦めできないでしょう。