レスキュー隊が使うエンジンカッター3台で

とあるお客様の家で、最長15m超の大型アマチュア無線アンテナが、先日の台風で倒壊し、業者さんが尻込みしていくなかで、チーム小川名の屈指メンバーで、撤去作業を行いました。

高さは確かにありますが、地中に1.8mも基礎が埋め込まれているアンテナが、まさかの転倒。

台風24号の風の威力、さらに、ビル風の影響をまともに受けて。

お客様の日頃の行いのおかげか、運良く、仲良しの隣のビルに、先端がもたれかかる形で、災害が無く済みました。

また、四方に張り出しているアンテナも、うまい具合に、ビルの窓を襲うことなく。

しかし、アンテナ本体のたわみが大きく、時間の経過と共に、いつ、心棒が折れるか分からない。また、その手前にたまたま木造の倉庫があり、そこで、本体重量を支えてくれていましたが、やはり、これも時間の問題でした。

解体屋さんにすぐに見てもらい、足場屋さんも来てもらいましたが、思った以上に解体作業は深刻な状況。一歩間違えると、周囲に被害をもたらすと同時に、作業員自体の生命に掛かってくる作業。
とある足場屋さんは、2時間以上考えた挙句に、尻込みし撤収。
お客様のために、そして自分自身のプライドを掛けて、何とかしたいと頭を抱えた後に、『小川名さん、これ以上アンテナ本体が倒れないように、さらに、アンテナの足元が滑らないようにしてくれれば、何とか出来るのですが・・・』

そこまでして愛すべく解体屋さんが言うからには、かなり危険な作業と改めて痛感し、
それでは、【彼らの安全は必ず守る】を最優先に、こちらも考えを巡らし、一緒に倒れてしまった棚や荷物を片付けながら、一計を。

鉄骨屋さんをすぐに呼び、必要資材を一緒に検討し、人を集めて、即作業。

H鋼、大型のL型アングルと、たくさん持ってきてもらい、私が作った絵ポンチを構造上、作業の方々にご理解いただき、現場に合わせてアセチレンで切断作業。

信頼のこの方が、また手際のよいこと。

先ずは、地中1.8mの基礎穴を逆利用して、アンテナ本体が滑らないように、穴へ肉厚の丸鋼を差し込み、H鋼、単管と、どんどん足もと部を固めていきました。

さらに、手前側に滑ってくる方向に、アンカーで固めたH鋼土台に、斜めに力が掛かることを考慮して、先ほどの足もと部に、斜材にH鋼を使い(鉄の塊のアンテナ本体の自重に耐えられるように)、かかる力を分散させつつ、足もと付近は、L型アングルで、本体と溶接して本体と一体化。

ここまでの時間は極めて短かったですが、その間は、いつでも逃げられる態勢で作業しながらも【怖い】よりも、【何とかするぞ】の想いで、5人で気持ちを集中して。

先んじて、工場である程度の大きさに加工しておいた点も時間短縮につながりました。


続いて、倉庫の屋根で、何とか支えてくれているアンテナ本体が、これ以上倒れないように。


H鋼で、土台・柱を据え付けては、溶接。
据え付けては、溶接の繰り返し。

アンテナ本体が、これ以上、倒れないように。
さらに、H鋼の構造体の筋交い 兼 転がりを防ぐために挟み込み。

そして、要所要所を本体と溶接して、倒れ・転がり・滑り が無いようにして、やっと解体屋さんの出番です。

先述の 解体のための構造体から『控え』を取りながら、足場の設置開始。

早急に足場を建て、皆でアンテナに衝撃を与えないように、少しづつ撤去し、軽くしていきます。

そして、ロープで引っ張りながら、エンジンカッターで、ついに隣のビルにもたれかかっていたアンテナ先端部を、無事に切断することが出来ました。

あ~、ヒヤヒヤした。

先ずは、休憩。休憩。


ここからは、不安の気持ちから、『今日中に解体してしまおう』の意欲の方が圧倒的となり、エンジンカッター3台が、あらゆる角度から、私を含む、安全を指示する人間のもと、どんどん切断されていきます。
(このような時こそ、油断大敵です)


それとほぼ同時に、粘度の高い下地材を外壁のえぐれ部に塗り込み、乾いてからタッチアップ塗装。

塗装屋さんも、近頃は枠組み足場が当然の時代で、久々の単管ブラケット足場での作業。この日には足場をばらせる見込みが出来たので、急がなければならない。


そこで、塗材を運ぶのは、私。

改めて、もう一度、どこを切断するかの検討。

切り方を間違えると、本体の動き次第では、作業員が飛ばされてしまうため。

エンジンカッターの勇ましい音とともに、ここまで切り落とされました。


つづく・・・