雨漏り屋根の、重ね葺き(2階屋根のみ)

2寸勾配の緩い屋根。

コロニアル屋根は、最低3寸の勾配はないと雨漏りしやすい。お客様はある意味、その施工を知らない工務店のために、犠牲をこうむってしまった。
(高度経済成長時代、とりあえあず施工しておけ!という、工務店・建設会社によって、被害を受けている方が多いのが事実)

さらに、この当時のコロニアル屋根は、今では悪者の筆頭にさらされているアスベスト入り。そのため、これを産業廃棄物として捨てると、埋立て処分しかないので、かなり高額な費用を要する。今、支払うか、後で全解体の際に支払うかで悩むところですが、一般のお客様にとっては、大変迷惑な話。

今回は、このアスベスト入りコロニアルをそのままにして、断熱材入り金属製屋根を重ね葺き。

軒先・ケラバ(破風板上部)を、まずは所定の板金材で。

1階の屋根(下屋・げや)は、雨漏りしていなかったので、心配な棟板金を、ビスで補強。
(このお宅は、下屋がてとも大きいために、金額がその分上がってしまうので、2階の大屋根のみを)

それにしても、【雨漏り】を大々的にうたっている会社ですが、屋根塗装時に使用するタスペーサー(雨水の排水を促してくれる)を、規定量以上に、みやみに入れ過ぎです。

おかげで、下屋を歩いている際に、経年変化で弱っているコロニアル自体が、割れそうで、慎重に歩かなければならなかった。それでも、割れてしまったので、その部位は取り換えましたが。

朝に現場で段取りしながら、他の現場へ廻り管理し、ここへ戻ってきた時には、すでに切妻屋根(2面のみのシンプルな構造で、雨漏りに強く、改修時の半端材もあまり出ないので、質実剛健な屋根形状)の、半分は重ね葺きが終わっていました。

棟部(頂上部)もアスファルトルーフィングで、シッカリと施工されていました。

これが、屋根の下地に葺く、アスファルトルーフィング。様々な種類がありますが、㎡当たりの重量が重いものが、強いものと考えられています。

そして、この分野では、やはりTAJIMA(タジマ)が、コンベックス(メジャー)同様に、トップブランドです。

屋根材が、表面を覆ってしまうと、隠れてしまう縁の下の力持ち的存在の、【ルーフィング】ですが、案外と知られていませんが、屋根材で雨漏りを防ぐのは、案外と難しいもの。
一番大事なのは、このルーフィングです。屋根材本体から、漏れだす雨水、毛細管現象で、引っ張り上げてしまう雨水を、このルーフィングが支えてくれています。

すべてのこと同様に、見えてくる表面のものより、下地にこそ、本来の機能性があります。
かつてのものは、経年劣化で、剥がすとボロボロになってしまう黒くて薄いものでしたが、今は厚みのあるものに。この上から、釘・ビスを打っても、劣化が進まない限り、そこから雨漏りすることが無いんです。ちゃんと施工していれば。

しつこく、板金屋さんに言っている、【重ね代・かさねしろ】も、規定通りに貼られています。

綺麗に仕上がりました。

ニチハの横暖ルーフ。おそらく一番多用されている重ね葺きの商品です。

ニチハは、窯業系サイディングで、安いことも手伝って、圧倒的シェアを誇るメーカーですが、屋根材でもかなりその存在を伸ばしている会社です。

一方で、かつて発売されたパミールというスレート屋根は、仕入れが安かったため、多用されましたが、現在問題になっている商品を作ってしまい、その後の対応も悪い。私のお客様も、大変な想いをされたので、当時不可能とされていた補償費を、シッカリと補填してもらいましたが。

また、サイディングの厚みが12㎜の釘打ち工法が、およそ9割のシェアを誇っていた際に、サイディング業界会長のニチハが、【これまでの12㎜のサイディングは、反り、ひび割れ、経年変化に弱い】ということで、【今後の厚みの最低基準を14㎜とする】と、勝手に決めて、我々に文書を送ってきました。
その際、実際にその事例は理解していたため、解らないではありませんでしたが、それを受けて要望していた、『お願いだから、増改築用のために、段差ができないように、12㎜も強化して一部だけでも残してくれ!』に、対してスッパリと廃版に。

そうしたなか、宇部興産(UBE)だけは、数年間頑張って、一番売れたスタッコ柄を中心に販売を継続してくれていました。

言いたいのは、圧倒的シェアを押さえてしまうと、そこが言うことが【正義】となってしまう、【勝てば官軍、負ければ賊軍】を地で、行ってくれたので、この会社は、どうも好きになれない。
ただし、商売が上手い。流通の押さえも上手い。やはり今は官軍。

古い窯業系サイディングは、アスベスト入りのため、業者さんも嫌い、処分を元請けのこちらに押し付けようとする。その逆も。

よって、私は、新築時は、ジョリパッドは当然、リシン掻き落とし(今は色が数種類でている)などを薦めていました。今なら、再生可能な【土壁】に、日本が誇るホルマリンを分解してくれる建材【漆喰】を塗ることを薦めるか、消防法的に、問題の無い地域ならば(神奈川県では清川村のみ)、無垢材の下見板を無塗装で張ることをお勧めいたしますが、清川村以外では、それを施工する場合は、その裏地に、ケイカル板、フレキ板等の、防火措置を取ってからでないと、確認申請が下りない。
⇒ 消防法は理にかなっていますが、上記の理由で、私は、今現在は新築にあまり関心を示せない。法的に縛りが入るかも知れませんが、今段階では修繕という事で、無垢材を既存住宅に張ることは、グレーゾーンで、ホワイトでもどちらでも無い微妙な状態。
消防法を解するに、要は隣近所が近接しすぎな現状があります。


今の各住戸の敷地面積が、一般的には狭すぎるために、【江戸の火災】で、嫌なほどに学習してきた日本国の今の立派な法律があることを否定しない。
⇒ 延焼・類焼を防げる簡単な手法は、やはり、お隣さんとの建物と離れていなければならない。
或いは、小江戸と呼ばれる、埼玉県の川越の蔵町に一つの答えがあると、考えております。
(火事は、悲惨だし、実際の火柱を見ると、炎の力に、屈服してしまう)

社内検査で、何度も確認したところ、一ヶ所だけ。

ケラバの面戸が、おさめられていなかったので、これをおさめて、シールをして、終了です。

こう、おさまらなければ。

下屋のコロニアルが、タスペーサーの入れ過ぎにより、施工中に歩いていたところ、割れてしまったので、2枚張り替えました。

当社の業者さんが、誇れるところは、「このコロニアル、割れちゃった?」と聞くと、『んだ。だから、交換用のコロニアル、持ってきたんだっぺ!』と、嘘をつかずに、言い訳を言わないで直すことは、当たり前と考えてくれている点です。

この道具で、コロニアルを一部張替えできます。

お疲れ様でした。

また、お気遣いいただいたお客様、有難うございました。