後継者が大切にしている折り曲げ機

屋根材面積の拾い手法、施工要領書・手順書を元に見積り・施工時のインフラ等を検討するために、板金屋さんへ話し合いに伺いました。

ついでに、ルーフィング(とても重要な役割の屋根の下葺き材)に、何を選定するかの再確認。

田島ルーフィング㈱・TAJIMAが極めて有名で、かつ非常に多くの種類がありますが、仕上げる材料により、下葺き材の選定も大切になってきます。

かなり、年季の入った鉄板、ステンレス板等の折り曲げ機。これで、大物の曲げ加工をしていきます。

私も長年お世話になってきた会社の社長、先代からのものを、この後継者の方は、宝物のように、とても大事に使われています。

働き盛りに、病気で亡くなられたM社長は非常に優しく、面倒なこともいとわない、素晴らしい方でした。技術面を良く知らない営業の私が素人同然の質問をしても、丁寧に教えて下さった。そして、安易に『ああして、こうして安くならないかな』というと、【それでは、お客さんに悪いからヤラナイ】と、その手法をあっさり断られることも多々ありました。

それだけ、エンドユーザー様のために、そして自分の誇りにかけても、いい加減な仕事はしないと決め込んでいました。

その方の気持ちの入った機械、工具を、今の後継者様は、その精神をも受け継いでいます。
(親族ではないのに、雰囲気が似てきたのは気のせいかしら)

こちらも年季の入った、手動式プレス切断機。

他にも、通称バッタと呼ばれる 手動式曲げ加工機も。

新築工事をメインで行っている板金屋さんから送られてくる、最近の建築板金屋さんのなかには、『ここを、こんな感じに切って、曲げてくれないかな?』というと、「そんなのしたこと、無いですよ」の返事もあります。

商品・細かい部材の規格・商品化により、技術の差が出にくいようになってきている事実があります。

そうした中でも、やはり、その状況に合わせた修繕・リフォーム作業では、自分で切って、曲げてが出来る技術力がものを言います。

こうした方々は、絶滅危惧種のようになってきましたが、絶対に受け継がれてきた技術が必要になってくる時が、今後多くなってくることと考えます。
なぜならば、AI化により、さらに簡易施工になってくるでしょうが、少し前まで作られてきた建物の多くは、人間の手作業によるところが多く、それらが息永く残っている以上、建物それぞれに作り方が、微妙に違うものすべてに対応できるAI機械を導入する費用の方が高いため。

自動車の板金が、パテの台頭・アッセンブリー交換・使い捨てにより、昔ながらのあぶって叩いての技術が必要とされる機会が、非常に少なくなりましたが、建築では、何としてもこれまでの技術を保持・継承して、時間の経過した建物(古くなった建物)を、直せるようにしておかなければならない。そうしたいと考えております。自動車もね。